セルビスやさしいストーリー『ラベンダーの指輪 ~来世の約束~』

私たちセルビスの社員とお客様や協力会社の皆様が、当社との関わりの中で実際に体験した出来事を綴る『セルビスやさしいストーリー』。
皆様の人生に寄り添う私たちだからこそ出合える、心温まる物語。
数多くの応募の中から、今号はこの作品をご紹介します。た感動の物語をご紹介します。


<作者/法貴 亮太(泉北メモリアルホール 館長)>

「生涯の伴侶」という言葉は、私たちが結婚という誓いを交わす時に用いるものですが、その言葉が意味するのは、果たしてこの世だけのことなのでしょうか? この物語は、私たちが見逃しているかもしれない「永遠の絆」について考えさせてくれたお話です。

私たち葬祭ディレクターの仕事は、最も大切な瞬間を、静かに、そして慎重に見守ることから始まります。故人様をお迎えし、その人がどんな人生を歩んできたのか、そのお人柄や家族の絆を少しずつ紐解きながら、どんなお葬式が最もふさわしいのかを考えます。その過程で、ときには涙ながらの話に耳を傾けながら、ご夫婦の深い愛情が静かに伝わってきます。言葉にしなくても、その無言のやり取りが、お互いをどれだけ大切に思っていたかを物語っているのです。

通夜、葬儀、告別式が無事に進む中、担当スタッフがご主人に提案した一言が、私たちの心を大きく揺さぶりました。

「奥様に、指輪を贈りませんか?」

もちろん、本物の指輪は金属のため、火葬では棺の中に入れる事は出来ません。けれど、会館の庭に咲く美しいラベンダーをそっと摘み、その花を優しく編んで輪を作り、まるで指輪のように形作ったのです。

ご主人はそのラベンダーの花の指輪を受け取ると、静かに奥様の耳元でささやきました。

「来世でも、また君を見つけられるように」

その一言に込められた想いは、言葉以上に深く、私たちの心を揺さぶりました。奥様の指にその花の輪をそっとはめた瞬間、香りが静かに広がり、まるで時間が止まったかのように、その場にいるすべての人々が涙をこぼさずにはいられませんでした。

その後、ご主人は深く一礼し、私たちに向かってこうおっしゃいました。

「こんなにもあたたかい時間を、本当にありがとうございました。彼女も、きっと喜んでくれていると思います。私ひとりでは、ここまでしてあげられなかった…。あなた方のおかげで、彼女を安心して送り出すことができました」

その言葉に、私たち自身も救われた気がしました。私たちの仕事は、誰かの「最後の願い」にそっと寄り添うこと。けれど、この日ほど、その重みと意味を実感した日はありません。

死者の声はもはや聞こえなくても、彼らの想いは確かに生きている。見えないけれど、しっかりとした絆が私たちを繋いでいることに、気づかされる瞬間があるのです。

ラベンダーの香りは、やがて薄れていくかもしれません。それでも、その香りに込められた想いは、永遠に色あせることはありません。その香りとともに、彼らの心は一つになり、魂は何度でも巡り会うことを約束しているのです。

草の輪は儚いものです。けれど、その丸い形が示すのは、永遠に途切れることのない「縁」。

現世で交わされた約束は、来世で再び二人を導くと信じて。

その輪が描く軌跡は、決して消えることなく、いつか再び二人を結びつけることでしょう。それは、単なる指輪ではなく、魂の中で交わされる最も深い約束。見えない絆が、時を超え、空間を超え、二人を再び繋ぎ合わせるその時まで。

そしていつか、私自身が愛する人を見送る日が来たとしても、あの指輪のように、優しく静かに、想いをつなぐことができたなら—。そう、心から願わずにはいられないのです。

※セルビスグループ共栄会主催
「やさしいストーリー VOL.5」をご覧ください。


第5回「やさしいストーリーコンテスト」の応募作品の中から、厳選された10編を1冊にまとめました。セルビスの施設に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。

※セルビスグループ共栄会とは

セルビスグループのお取引先約140社で運営している協力業者の会です。