セルビスやさしいストーリー『おばあちゃんのみかん』

T様との出会いは、ある冬の長寿のお祝いのひとときでした

私の業務内容の一つに「長寿のお祝い訪問」というものがあります。その月に八十八歳(米寿)を迎えられる方のご自宅に訪問させてもらい、近況確認をさせていただいています。

お誕生日を迎えられた「T様」宅に訪問させていただいた時の出来事です。玄関口に出てこられた娘様はお気遣いくださり自宅に招き入れていただきました。

リビングのソファには、T様がテレビを見ながら座っておられました。「お誕生日おめでとうございます。当社からのお祝いの品をお持ちしました。」とスープセットをお渡しすると、T様は「ありがとう。みんなで食べますね」と喜んでいただきました。T様から「和歌山の友達が送ってきたみかん食べて」とみかんの入った籠を手渡されたので私は遠慮なくいただきました。すごく甘くておいしいみかんで、おいしそうに食べる私を見てT様が楽しそうに和歌山のお友達の話を沢山してくれました。帰りにいっぱいのみかんをお土産にいただき、T様と娘様に沢山の笑顔で見送ってもらいました。営業所に戻るなり、みかんを所員といっしょにいただきました。

最後まで私のことを覚えてくださっていた優しさ

時は流れ、暑い夏の終わり頃、営業所に一本の電話が入りました。私宛にT様の娘様からでした。夏風邪にかかり、その後体調が良くならず入院されたので、T様からもしものことを相談されました。翌日すぐにご自宅へ訪問し、娘様ご夫婦にもしもの時に必要なもの等を説明し、その後入院されている近くの病院にご夫婦と一緒にお見舞いに伺いました。T様が私の事を覚えていてくださったのがとても嬉しかったです。

秋も深まり十二月初め、千代田メモリアルホールから私へ連絡があり、「T様がお亡くなりになられ本日お通夜式を行います」と。ご安置されているご自宅へ向かうとすでに親戚様やお孫様がおられ、娘様に「上がってきてください」とやさしく声をかけていただき、お手を合わすことが出来ました。私は「スタッフにお任せください。私もお通夜に参列させていただきます」とお伝えし、一旦その場を離れました。

想いが込みあげる、祭壇に供えられた「みかん」

家族親族葬式場に伺うと、T様らしい祭壇が飾られ、横のお皿の上には大好きだった「みかん」がたくさん盛られてありました。それを見た私は涙が溢れ、その場で泣いてしまいました。私がみかんの事をとても喜んでいたので、T様からお葬式の時、祭壇に「みかん」を飾るようにと言われていたようです。こんなにも私の事を気に入っていただいていたとは思いもよらず、お通夜式中、T様とお話しした事を思い返していました。

翌日は告別式、出棺、お骨上げ、初七日とあっという間に時間が過ぎ、少し落ち着いた一月初めにご自宅にお伺いし、お参りさせていただきました。娘様に「体調を崩されていませんか?」とお伺いすると、「相談していたから大丈夫でした。これからも何かありましたら連絡します。」と有難い言葉を頂戴しました。

ふと目をやると、後祀り祭壇には「みかん」が供えられていました。

※セルビスグループ共栄会主催
セルビス やさしいストーリーコンテスト入賞作品


お客様や従業員、お取引先の方々が、セルビスグループの商品・サービス・仕事を通して体験した、やさしさにふれて心あたたまる物語を集めたコンテスト。沢山の物語の中から、入賞作品を1つご紹介します。

※セルビスグループ共栄会とは

セルビスグループのお取引先約140社で運営している協力業者の会です。